ワンちゃん・ネコちゃんの骨折・脱臼について
骨折・脱臼しやすい犬種があります
1歳に満たないトイ・プードル、チワワ、ポメラニアンなどの小型犬は、骨が細くて柔らかく骨折が起こりやすい犬種です。抱っこしいて落としたり、ソファーや椅子から落ちたり「高い場所からの落下」が原因として増えています。脱臼は骨折と同様に落下が原因で起こることもあります。他のワンちゃんとの喧嘩や滑る床で転んで起こる場合もあります。
室内飼いのネコちゃんでも骨折・脱臼する場合があります
「うちの子はお家で安全に飼っていて、交通事故の心配はないので骨折・脱臼する心配はない」とお思いの方もおられるかもしれませんが、そうではありません。室内飼いのネコちゃんでも、骨折・脱臼することがあります。タンスや棚などの高い場所から飛び降りて、着地に失敗して骨折・脱臼したり、ドアや窓などに挟まれて骨折・脱臼したりするケースがあるのです。
こんな症状にご注意ください
ワンちゃん・ネコちゃんが骨折・脱臼した時、次のような異変が現れることがあります。動物たちは人間のように、言葉で症状を訴えることができませんので、飼い主様がいち早くそれに気づいてあげるようにしましょう。
骨折や脱臼した時の症状
- 歩き方がおかしい
- 足をあげている
- 足が変形している
- 体を触ると痛がる
- 元気がなく、部屋の隅でじっとしている
など
主な骨折・脱臼の原因
「高い場所からの落下」や「交通事故」などの衝撃
ワンちゃん・ネコちゃんが骨折・脱臼する一番の原因として、「高い場所からの落下」が挙げられます。ワンちゃんの場合、骨が細くて柔らかい小型犬などは、「たったこれだけの段差で?」と驚いてしまうような場所から飛び降りただけでも、骨折することがあります。また、ネコちゃんの場合、高い場所からの飛んだ時に着地場所に瓶などの不安定なものがあると骨折することがあります。また、2階の窓から何かを追いかけて飛び出して骨折することもあります。そのほか、交通事故、不注意でドアや窓などに足を挟んでしまったなどのことが原因で、骨折・脱臼することもあります。
「骨の腫瘍」や「骨粗しょう症」などの病気
骨の腫瘍などの病気により、骨がもろくなって骨折する場合があります。また、高齢のネコちゃんの場合、腎臓病が原因で骨折してしまうこともあります。ワンちゃんは副腎皮質機能亢進症を放置してしまうと骨粗鬆症と同じ状態になり折れやすくなります。
先天的な関節の異常
よく先天的な関節の異常として見られる病気は、膝蓋骨内方脱臼です。生まれてから膝の異常があると足に力がはいらず、骨が成長しません。時間が経つと正常な位置に戻せなくなり治療ができなくなります。小型犬に多い病気です。
肥満による足への過度な負荷
肥満は足に過度な負担がかかることで、脱臼の原因となる場合があります。太り過ぎのワンちゃんは、ごはんの内容や量を見直すなどして肥満を解消するようにしましょう。
骨折・脱臼を予防するために
滑りやすいフローリングは骨折・脱臼の原因に
ご自宅の床が滑りやすいフローリングの場合、高い場所から飛び降りた時に滑って、骨折・脱臼の原因となることがあります。また、飛び降りた時の衝撃が足腰に加わって、骨折・脱臼することもあります。なので、厚みがあり、適度な柔らかさのマットを床に敷いて、骨折・脱臼を予防するようにしましょう。
適度な運動で肥満を解消しましょう
肥満は脱臼の原因となりますので、「最近、ちょっとぽっちゃりしてきたかな」などとお感じの場合には、適度に運動させて肥満解消に努めるようにしましょう。また、運動により関節まわりの筋肉を発達させることで、脱臼が予防できるようになります。
もし骨折・脱臼が起こった時には
骨折や脱臼の応急処置
骨折や骨折をしている場所は大変痛がります。何か処置をしてあげたいと思われると思いますが何もせず病院へ行きましょう。幹部を触るとかまれて、人が病院へいかなければならなくなります。
骨折・脱臼の治療方法
骨折の治療の一番大事なことは安静です。骨折が治るのに数か月かかります。その間に動くとネジやピンがずれてきます。
骨折の治療方法
プレート法
骨折が起きている患部を切開して、骨折部分に金属製のプレートをあてて固定する方法です。ロッキングスクリュウーを使用することにより、骨の表面とプレートの間に隙間を作り、血行障害を予防できます。チタンの素材を使うと、プレートを外す手術をする必要がありません。
創外固定法(そうがいこていほう)
ネジの付いた金属製のピンを使った、体の外側から骨折部分を固定する方法です。プレートが使えない、残したくない場合は創外固定をします。ピンが露出しているので、感染しやくなります。見た目もよくありません。再度麻酔をして3か月頃にピンを抜きます。
髄内ピン法
骨髄部分に金属製のピンを通して、骨折部分を固定する方法です。患部を切開せずにピンを通すことができれば、短時間の手術で治療が終えられます。ただし、固定強度が弱いので、ギプスを併用する場合もあります。
副子固定法
ギプスを患部にあてて固定する方法です。どの手術もできない場合はこの固定法をします。
脱臼の治療方法
股関節脱臼
整復と固定
整復とは、脱臼を起こした関節を元の状態に戻すことです。股関節脱臼では整復と固定をすることもあります。通常は全身麻酔下で整復します。下方脱臼であれば整復できます。しかし、上方脱臼では整復し包帯やテーピングで固定してもワンちゃんが足を動かすので外れてしまいます。手術
股関節脱臼の手術は骨頭切除と人工的な靭帯を使う手術になります。
骨頭除去は名前の通り骨頭を切る手術です。普段の生活には問題がありませんが、激しい運動をすると今まで通りの事が出来ないことがあります。再手術はありません。
人口靭帯を使う場合は、比較的直ぐに歩くことができます。問題点は靭帯がきれてしまうことがあり、再手術をすることがあります。
膝蓋骨脱臼
先天性や後天性の脱臼があります。先天性では片側で起これば、足の長さや大きさが明らかに変わってきます。脱臼している足のつま先が内側に向いています。
後天性はフローリングなどの滑りやすい廊下で滑ってなることが多いです。
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼は、症状の程度に応じて1~4のグレードに分類されています。次のグレードのうち、「グレード2」以上は手術の対象となることがあります。
グレード1
症状は軽度で、日常生活にほとんど支障がない状態。
グレード2
足を浮かせて歩くなど、歩行に異常がみられるものの、関節を伸ばせば元に戻る状態。
グレード3
足を引きずって歩くなど、歩行に異常がみられ、外部から力を加えれば整復するものの、すぐに脱臼してしまう状態。
グレード4
脱臼が元に戻らない状態。
手術方法は関節の溝がなくなっている場合は、人工的に溝を作ります。脛骨粗面と呼ばれる場所を外側に転位させ固定し、関節の外側に人口の靭帯を使い膝蓋骨が正常な位置になるようにします。
グレードの4は手術をしても治らないと思っていただいたほうがよいです。
骨折・脱臼治療の費用の目安
- 脱臼の手術の費用は8万円~
- 骨折の手術はプレート15万円~
- 創外固定10万円~
- ギブス固定1万円~
※入院の期間によって、費用は変動します。
※上記の料金には、診察料、血液検査料、全身麻酔料、手術技術料、点滴料、手術室使用料、手術器具滅菌料、器具料(針・縫合糸・マスクなど)、などが含まれています。